毎年6月23日の夜から24日にかけて、 スペイン全土で夏の到来を祝う伝統的なお祭り「サン・フアン(カタルーニャ語:サン・ジョアン/ 聖ヨハネ)の火祭り」が行われます。この祭りが終わると、いよいよ本格的な夏の始まりです。今年のスペインは特に暑い夏になると言われていますが、そんな日に恋しくなるのが、心地よい泡立ちで冷たく喉を潤してくれるスパークリングワイン「CAVA(カバ)」です。アペリティフから食中、あるいはデザートまでシームレスに寄り添ってくれる万能さは、これからの季節に欠かせません。
CAVAは、シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵(伝統的製法)」で造られるスペインを代表するスパークリングワインです。その起源はカタルーニャ州のペネデス地域にあり、なかでもサン・サドゥルニ・ダ・ノイア周辺は、長い歴史を持つ主要な生産地として知られています。
7月12日は国際 Cava Day(International Cava Day)

ところで、毎年7月12日が「International Cava Day(国際カバ・デー)」に制定されているのをご存じでしょうか。これはスペインのカバ原産地呼称統制委員会(D.O. CAVA)が、世界中にその魅力を広めるために定めた記念日です。
皆さんは「CAVA」に対して、どのようなイメージをお持ちですか?
「伝統製法でありながら、コストパフォーマンスに優れたカジュアルな泡」
という印象が強いかもしれません。それも確かに大きな魅力ですが、近年のCAVAは品質構造の明確化を進め、さらなる進化を遂げています。
いま、注目され始めたのが、上位カテゴリーである「Cava de Guarda Superior(カバ・デ・グアルダ・スペリオール)」です。
これは2020年の制度改定によって導入された区分で、長期間の熟成を経た高品質なCAVAを指します。
熟成期間に応じて
・Reserva(18ヶ月以上)
・Gran Reserva(30ヶ月以上)
・Paraje Calificado(36ヶ月以上)
の3段階に分類されています。
カタルーニャ語で「洞窟」や「地下セラー」を意味する”カバ(CAVA)”
なかでも最上位の「Paraje Calificado(パラヘ・カリフィカード)」は、単なる熟成期間の証明ではなく、特定の優れたテロワールを持つ単一特級畑から収穫されたブドウのみを使用する、CAVAにおける最上位の格付けです。
さらに、これら「Guarda Superior」に分類されるすべてのCAVAは、オーガニック栽培(有機栽培)のブドウ100%で造ることが義務付けられています。これは、単なる品質の追求にとどまらず、地域の環境や自然に配慮したサスティナブルな栽培哲学を明確な基準として組み込んだ、先進的な取り組みでもあります。
こうした制度的な進化は、CAVAが「手頃で美味しいスパークリングワイン」という従来の枠を超え、明確な階層構造と独自の思想を持つワイン産地へと歩みを進めていることを示しています。

メストレス家30代目で、輸出担当のダビッド・アウラ(David Aura)氏
7月12日に迎える「国際CAVA DAY」は、そうしたCAVAの進化を感じ取る絶好の機会です。グラスのなかで揺れるきめ細やかな泡は、テロワール、重ねられた時間、そして造り手の魂の結晶です。暑さの続くこれからの季節、CAVAを片手に、その進化を味わってみてはいかがでしょう。
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Ikumi Harada 原田郁美
Journalist & Creative Director
スペインワインとガストロノミーを専門とするジャーナリスト。2005年のスペイン留学を機にワインと食文化に惹かれ、以降スペイン各地を取材。プリオラートでのワイン造りや協会活動にも携わり、2024年に初ヴィンテージを発表。2025年にはバルセロナのワインコンクール「Barcelona Wine Test」を共同創設。株式会社Aromas代表として、輸出やマーケティング支援を手がけながら、スペインワインの魅力を発信している。WSET® Level 3。山口県出身。@ikumiharada
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