人が人を連れてくるビストロ「Pegli」分倍河原
先日、私の輸入しているスペイン産オリーブオイルをつかってくださっているお店「Pegli」で食事をしました。2年ぶりの再訪です。 2年前の三坂シェフ シェフの三坂さんは、数々の名だたるフレンチレストランで腕を磨き、長年にわたって料理と向き合ってきて、独立された方。2年前の5月にビストロ「Pegli」が誕生しました。 2年前の11月、スペイン出張の時に突然、電話がかかってきて帰国後に再会しました。(じつはそのとき、誰もが驚くエピソードがありました。それはまた別の機会にご紹介したいです) お店はビストロ。けれどワインリストには、フランスに並んでスペインワインがあり、料理にはスペインのオリーブオイルもつかわれています。 カウンターに座り、まずその日のグラスワインをお願いしました。前菜はどうしようかな、とメニューを開いたところで、シェフが「前菜の盛り合わせにする?」と、声をかけてくださって、即決です。白ワイン(写真を撮り忘れました)と、いかにも丁寧に仕込みがされていることがわかるぜいたくな前菜を楽しみながら、メイン料理を選ぶためにメニューをみて、ワインリストも拝見していました。 今回の前菜盛り合わせ 気づけば、スペインワインを見つけると、すぐに「あ!スペイン」と思っている自分に気が付きます。もちろんスペインに関わる仕事を何年もしているから当たり前なことかもしれません。しかし、ふと、それだけではない気がしました。 本日のグラスワイン(カリフォルニア) グラスに注がれたワインや、料理に添えられたオリーブオイルを味わいながら、私が思い浮かべていたのは商品のことではなく、その向こうにいる人たちのことでした。 スペインでぶどうを育てて、醸造する人。 オリーブを収穫し、搾油する人。 その価値を信じて日本へ届ける人。 そして、数ある中から素材を選び、一皿の料理として表現するシェフ。 一本のワインやひと匙のオリーブオイルは、たくさんの人の手を渡りながら私たちの食卓へやってきます。 そんなことを考えていた夜、もうひとつ印象に残ったことがありました。私が食事をしている間に、後から何組かのお客様が来店されたのです。 最初に入ってこられたのはフレンチレストランのオーナーとお連れ様。その後にはイタリアンれすのオーナーシェフが。偶然かもしれません。けれどもこういう光景を見るたびに思います。味わいに信頼がある店には、その道の人たちが自然と足を運ぶのだと。 誰かが大きな声で宣伝するわけではないのに。 現に、このビストロにはホームページもなく、Instagramだけ。ふと「行きたいな」と思って確かめると「○月○日、満席となっております」という文字が出ていることが少なくありません。タイミングを逃し続け、気づけば2年ぶりの食事になったのでした。 パテ(2年前) 2年前、家族でお邪魔したときも、帰り道に子どもたちが「電車に乗って行かないといけないお店だけど、ぜったいに、また行きたい!!」と、言ってましたね。 自家製ハム(2年前) しかもこのお店でいただいたものをInstagramに投稿したときのこと。別々の友人からそれぞれ「どこのお店か教えて!」と、連絡をもらいました。お店を紹介すると、後日、それぞれ実際に足を運んだとのこと。そしてふたりから同じようなメッセージが届きました。「すごく素敵なお店を教えてくれてありがとう」と。 自分が好きなお店だからこそ、私までとても嬉しくなったのは言うまでもありません。 生ハムサラダ(2年前) こうやって「あそこへ行こう」と思う人がいて、その人がまた別の誰かを連れてくる。そうして人から人へと受け渡される信頼が積み重なっていくのだなと。 鶏肉の炭火焼き(2年前) 考えてみれば、スペインのワインやオリーブオイルも同じです。つくる人がいて、届ける人がいて、選ぶ人がいる。そして最後に、その価値を料理として表現する人がいる。 牛肉の炭火焼き(2年前) 私がその夜に感じていたのは、料理やワインそのもの、そしてその向こうにいる人と人が信頼によってつながっていく様子だったのかもしれません。 そういえば、その夜のメインは「牛サガリの炭火焼き」。私は一般的なレアやミディアムレアよりも、しっかりめに火が入った方が好みなのですが、シェフはそのことを覚えていてくださって。 今回の牛サガリの炭火焼き 表面の香ばしさを残しつつ、中はしっとりと絶妙な火入れ加減のサガリ肉。ソースもコクがあって、今思い出しても、また食べたくなってしまいます。 良い素材を、より良く仕上げる技術とセンス。だから職人技なんですよね。 そして今回のように上質なオリーブオイルが、こうしてシェフからシェフへ、人から人へとつながっていく様子も目の当たりにして、胸もいっぱいになりました。...