夏を元気に過ごすために、私たちは食欲をそそる食事を考えたり、スタミナがつく料理を必要とします。
スタミナといえば、にんにく。
スペイン料理において、ニンニクは欠かせないイテムです。
パンコントマテ、アヒージョ、アリオリソースに、ロメスコスソース・・・
冬に負けない、カタルーニャの名物ネギ料理「カルソッツ」に登場するロメスコスソース画像より
ニンニクの辛みや甘みなど、料理によって必要とされる味わいが違います。
切り方では、スライス、みじん切り、すりつぶしなどレシピによって変わります。
調理法においても、生、炒めて、蒸して、焼いて、揚げてとバリエーションが豊富です。
でも実は、切り方や調理法により、味わいがどう変化するのかをあまり知られていないのでは?
それは、ニンニクの辛みの仕組みを知らないせいかもしれません。
筆者は、自分が食べたいニンニクの味わいを出せるようになりました。ニンニクの下ごしらえによって味わいが変わることがわかったからです。
まとめてみますね。
・みじん切り
ダメージも出てくる汁も少ない。
生:マイルドな風味。サラダのドレッシングにも。
調理:加熱してもマイルドな風味が保たれる。デンプンが糖に分解され甘みが出る。
・すりおろす
プレスより細胞を壊す
生:プレスより風味は強く、料理の中で広がりやすい。
調理:加熱すると辛みがマイルドになり、甘みに加え、複雑な香りが出てくる
・ピューレ
ペースト状にすると、細胞のダメージは最大に。
生:アリシンが増加し、強烈な風味と辛さ
調理:加熱すると強烈な風味がおさまる。料理全体に甘みが広がる。
大事なことは、ニンニクの準備次第で味わいの出方が違うことを知ることです。
ニンニクは、硫黄分を豊富に含んでいる玉ねぎと同じアリウム属の野菜です。そのため細胞が傷つくと風味が出てきます。
ニンニクは傷つけられ、つぶされるほど、多くのアリシンが出きて刺激が強くなります。
ちなみにアリシンの量は、ダメージを受けて約60秒でピークになり(室温の場合)、その後、分解されていき穏やかな風味に変わります。アリシンの刺激が止まるのは、60度以上の温度です。
誰でも、ご自身が望む味わいを楽しめることを伝えたい、筆者はそう思います。
料理をするのが嫌いだけど、おいしものを味わいたいからです。
ニンニクも準備の仕方で食べたい味わいを引き出すことができれば、日本の食材でスペイン料理を楽しむことが簡単になります。
ニンニクとスペイン産オリーブオイル、塩、好きな食材があればシンプルな技法で、無限のバリエーションが生まれますね。
料理づくりが苦手な筆者も、スペイン産ニンニクとスペイン産オリーブオイルをつかって今夜も夕食を楽しみます!
【参考文献】
・料理の科学大図鑑 著者 スチュアート・ファリモンド
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Tomoko Kato Editor-in-chief
短大卒業後、パティシエをスタートして食の世界一筋25年。スペイン産オリーブオイルに一目惚れし、輸入して13年。好きなものは、ワインとドラマと読書。3児の子育てと仕事に奮闘中。調理師、オリーブオイルソムリエ、スペインワインと食協会・共同代表。福岡県出身。
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