今回は、油について書かれた医師の著書からオリーブオイルに関する情報をお届けします。
きっかけは、先日開催された油の専門家によるトークライブです。
ライブ後、「知らなかったので、もっと知りたいです!」という一般の方々からの感想が新鮮でした。筆者はオリーブオイル業界で14年以上経つこともあり、初耳なことが多くないからです。
もっとも驚いたことは、録画を含め、のべ1000名近く試聴されていたことです。「油」に関するニーズの高さがこんなにあると想像もしていなかったので余計に。
ライブでチラリとでてきた書籍に掲載されているオリーブオイルの部分をピックアップさせていただき、筆者(オリーブオイルソムリエ)の解説を加えてご紹介します。
オリーブオイルの世界一の生産国はスペインですし、オリーブオイルを抜きにしてスペインの食文化は語れませんから!
・オリーブオイルはピンキリ
著書にはっきりと「ピンキリ」と書かれていました。
この意見に、筆者も賛成です。
日本で「オリーブオイル」とボトルに書いてあっても、ヨーロッパの「エキストラバージン・オリーブオイル」と同じとは限りません。なぜなら日本とヨーロッパにおいて、オリーブオイルに関する規格が違うからです。
つまり日本で「オリーブオイル」と言われるものが、ヨーロッパの方々にとって認識されている「エキストラバージン・オリーブオイル」とイコールではないのです。(オリーブオイルの国際規格は、次回以降に別記事でご紹介しますね)
・ピュアオリーブオイル
ピュアオリーブオイルは、日本独自のカテゴリーです。
オリーブオイルの搾りかすに有機溶剤を使い無味無臭にし、エキストラバージン・オリーブオイルを加えて、エキストラバージン・オリーブオイル風の香りと味わいをつけたものです。
簡単にいうなら「精製された植物油のオリーブオイル風味の油」です。
たとえばエキストラバージン・オリーブオイルにさまざまな規定がある中で「酸度」があります。エキストラバージン・オリーブオイルの酸度規定は0.8%以下、一方でピュアオリーブオイルの規定は0.3%以下です。
酸度が、新鮮なオリーブの実から搾油されたオイルかどうか表す数値として、低い方が良いとされます。しかしたとえピュアオリーブオイルの数値0.2%のように低いからといって上質ということではありません。あくまでエキストラバージン・オリーブオイルとは違う油です。
先にお伝えしたように、無味無臭にする(脱ガム、脱臭、脱酸、脱色)という過程を経て、オリーブオイル風味につくられる油だからです。
・「安いオリーブオイルは逆効果」
「250ml入りで2000円以上の、色つきガラス瓶入りのものを毎月1個買い替えていくのが、賢明です。」
このように著書に書かれています。
オリーブの実を収穫後、数時間からその日のうちに搾油し、酸度が0.1~0.2%以下になるようなエキストラバージン・オリーブオイルを、安価に販売することは難しいです。コストを考えたら現実的ではないからです。
実を大きなトラックにいっぱいに詰めて、大量に搾油所に運べば効率が良いのですが、上質なオイルをつくる生産者ほど反対のことをします。小さなトラックで畑と搾油所を何度も往復し、搾油をするのです。木から離れた瞬間から酸化がスタートするオリーブの実は、搾油までのスピードが命だから。
・選び方の目安
オリーブオイルを瓶詰めした日付がラベルに記載されているものが、おすすめだそうです。
さらに「その年の収穫したオイルだけ」をボトリングしている生産者から購入することが大切だと筆者は考えています。
前年のオイルが残っていて、新しいものを混ぜて販売されると、本当の瓶詰めの日にはならないからです。
・味わいのちがい
オリーブオイルは緑黄色のものから、黄金色のものまで様々あります。
グリーン色が強いものは「早摘み」といい、オリーブの実が早熟で緑色のうちに収穫したものからつくられます。
フレッシュな鮮度が風味に表れていて、味わいはやや苦みと辛みがあり、スパイシーなアクセントが感じられることが多いです。とくにカルパッチョ、サラダなど生モノや納豆などの旨みを際立たせることができ、スパイスやハーブのニュアンスを加えてくれます。
輝くゴールドがかった黄緑の色は、黒く完熟したオリーブからつくられます。まろやかでフルーティーな味わいが特徴で、香りも優しいものが多く、どんな食材と合わせても主張が少なく、食べやすいです。そのため子どもやオリーブオイルに慣れない方、和食に使いたい方におすすめです。
・オリーブオイルの効能
オレオカンタールはポリフェノールの一種です。著書にオレオカンタールの効能が以下の三つにまとめられています。
・炎症を抑える
・神経細胞の伝達を良くする
・抗酸化作用
オリーブの品種や、搾油方法などで含有量は違ってきます。
たとえばスペインの品種では、ピクアル種がアルベキーナ種の3倍ほどの含有率だと言われています。
・まとめ
オリーブオイルの効果効能を検索すると、様々な医師や専門家からの情報が山ほど出てきます。今日は医学博士であり脳科学専門医による油について書かれた本の中から、ヒントをいただきました。
オリーブオイルの部分に「スペイン産オリーブオイル」を特化して、少し解説も加えました。しかしスペイン産オリーブオイルは、範囲を狭めてもなお、幅が広く、奥が深いです。(今回と同じトピックスでもあと2時間くらいは話せるくらいに 笑)
LOHASPAINでは皆さんにとって必要な情報をひとつでも拾っていただけることを目指しています。
「おいしい」の先にある、魅力あるスペイン産オリーブオイルからたくさんの副産物を得ていただきたいです。
【参考文献】
・そのサラダ油が脳と体を壊してる 山嶋 哲盛
Tomoko Kato
Editor-in-chief
短大卒業後、パティシエをスタートして食の世界一筋25年。スペイン産オリーブオイルに一目惚れし、輸入して13年。好きなものは、ワインとドラマと読書。3児の子育てと仕事に奮闘中。調理師、オリーブオイルソムリエ、スペインワインと食協会・共同代表。福岡県出身。
*発酵のチカラ~シェリーヴィネガーが私たちの体にもたらしてくれるもの~
*欲しい魅力がこんなに! 内側から美肌をつくるアーモンドの成分。