◯味を感じる仕組みについて
わたしたちは、どういう順序で「あ!おいしい」と認知できるのでしょうか。
さぁ、おいしいものをいただく瞬間を想像してみてください。
トップの画像は、本マグロ。先日わたしがいただいたおいしいものです。
表面をエキストラバージン・オリーブオイルでさっと炙り、極上の海塩をパラリを振って仕上げています。隠し味は醬油を数的ほど。
素敵な味わいは、うつくしい見た目、じゅうじゅうと焼ける音、目に映らなくても確実に存在している香り、食感や温度など五感に迫ってきて、胃袋だけでなく心まで満たしてくれますね。
味わいは、さまざまな要素が組み合わさることで一つの印象を生み出します。
食べ物を口に持っていくと、まず鼻から香りを感じます。
そのあと口にいれて噛むことで、さらに香りが出てくるのです。
まるで舌から香りが届くように感じられますが、実際には口腔の奥にある臭覚受容体に香りの粒子が到達しています。
たとえば砂糖に含まれる甘みを感じるには、甘味物質が味蕾に触れる必要があります。
味蕾は、特定の味を感じるための受容体というものをもっています。
受容体は味蕾の細胞表面に存在し、特定の化学物質と結びつくことで反応するのです。特定の化学物質と結びつくと神経信号が脳に送られ、脳は味を感じることができます。
味覚には、主要な味として甘み、塩味、酸味、苦味、うま味(旨味)、脂味があり、それぞれの味を感じるためには、特定の化学物質が関与しています。
ご存知のとおり、味の感じ方は個人差があります。同じ食べ物や飲み物でも、個人の味覚の違いによって感じ方が異なることがあります。
同一人物でも体調等により、いつもの味わいに違いを感じることがありますよね。
◯味覚の仕組みについて
味覚の仕組みは、味蕾が特定の味を感じるために、舌にある味蕾の細胞が特定の化学物質と反応することによって成り立っています。
味覚の主要な要素は、甘み・塩味・酸味・苦味・うま味(旨味)・脂味の6つです。
・ 甘み
砂糖やフルーツのように甘く感じる味。甘味受容体は糖に反応し、その食品が消化しやすいエネルギー源だと知らせます。
・ 塩味
塩のようにしょっぱく感じる味。塩味受容体はナトリウムに反応し、体内の塩分バランスを保つときに重要な物質です。
・ 酸味
レモンやヨーグルトのように酸っぱく感じる味。酸味受容体が果物の酸を感知するのはビタミンCが含まれている証拠、もしくは食物が腐りかけていると教えてくれます。
・ 苦味
コーヒーやビールのように苦く感じる味。苦味受容体は、体に害になる可能性の高い天然毒性物質に反応し、体に危険な食品を知らせます。
・ うま味(旨味)
お肉や魚のようにおいしさを感じる味。旨み受容体は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸の刺激から、風味の良い味を感知します。アミノ酸があればその食品にタンパク質が含まれることにもなります。
・脂味
脂の味なのですが、先の五味より感じづらいとされている味。ここ10年ほどの研究から味細胞は食品に含まれる脂肪分子を感知でき、その食品がエネルギーを多く含むことを示すとわかってきました。
味覚は、食べ物や飲み物の味を感じるだけでなく、私たちの食欲や栄養摂取にも重要な役割を果たしています。
味覚の働きのおかげで、おいしいと感じるものを選んだり、健康的な食事を摂ったりすることができますからね。
好きなものを味わえること、ますます大切にしていきたいですね。
【参考文献】
・料理の科学 大図鑑 著者 スチュアート・ファリモンド
Tomoko Kato
Editor-in-chief
短大卒業後、パティシエをスタートして食の世界一筋25年。スペイン産オリーブオイルに一目惚れし、輸入して13年。好きなものは、ワインとドラマと読書。3児の子育てと仕事に奮闘中。調理師、オリーブオイルソムリエ、スペインワインと食協会・共同代表。福岡県出身。
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