スペイン・カスティーリャ・デ・ラマンチャ アルマグロ

カラトラバ城
アルマグロはカラトラバ地方のシウダー・レアル地域に位置し、スペイン歴史保護遺産に指定されています。ラ・マンチャ地方の歴史は、劇場の歴史と密接に関係しています。コラル・デ・コメディアス(スペイン中世大衆劇場)や国立演劇博物館、毎年行われる国際演劇祭などが楽しめます。
スペイン観光公式サイト (https://www.spain.info/ja/mokuteki/arumaguro/)より
このアルマグロに、スペインはもちろんのこと世界でトップクラスのエキストラバージン・オリーブオイルを生産しているオリーバパラシオス(Olivapalacios)のオリーブ畑があります。

ここで生まれるパラシオ・デ・ロス・オリーボス ピクアル種のオリーブオイルは、「世界のコンテストにおいて最も多くの賞を受賞しているオイル」と表彰され、8年連続トップを受賞し続けています。

ランキングの1位にPalacio de Los Olivos Picualの文字が。

筆者がこの農園を初めて訪れたのは8年前のこと。
当時、オーナーのラウル氏はすでに世界中から注目を集めているピクアル種のオイルを手掛けているにもかかわらず「この土地に最適な品種を探している」と、試験的に多くの種類の新しいオリーブの木を植えていました。

2016年に訪問したときの写真
写真にある緑色の筒に挿してあるのがオリーブの木です。見ての通り、まだ頼りなく、細いオリーブが整然と並んでいました。苗木を目にし、ラウルは未来を見据えて実行していく生産者なんだと尊敬の念が湧いたことを覚えています。

2016年に訪問したときの写真
訪問から翌年、筆者はプライベートで第三子の出産をしました。その後、再訪を計画した矢先、パンデミックも重なり、実に8年の時間が流れました。
昨年秋、8年ぶりにこの地を再訪した今回。畑に足を踏み入れた瞬間、目を疑いました。

かつては腰ほどの高さしかなかった木々が、すでに人間を超えるほど背を伸ばし、たくましく枝を広げていたのです。

オリーブは物言わぬ植物ですが、その姿が雄弁に語りかけてくるようでした。「ここで、着実に根を張り、成長してきたのだ」と。まるで長い年月を経て、ようやくこの土地と一体になったかのように。

どの品種も、それぞれとても健康に育ち、多くの実をつけていたことが印象的です。
その豊富な実を目の当たりにし、このテロワールの素晴らしさは格別なのだと理解できます。さらに豊かに成長しているオリーブの木は、「世界一のオイルを届けたい!」という生産者たちの有言実行するスタンスをも、物語ってるのだと感じた次第です。
「オリーブの木はね、自分の仕事をただ淡々とこなすんだよ」と、ラウル氏は穏やかに微笑みながら言います。しかし、その成長の裏には、ラウルをはじめとするスタッフの絶え間ない努力があることも改めて実感しています。 なぜならオリーブオイルの生産は、知れば知るほど嘘も誤魔化しも効かないからです。大自然を味方につけ、人間がコントロールできない天候に対処していく必要があるからです。
8年連続トップ受賞の味、その理由
この農園のオリーブオイルが世界に認められているのには、理由があります。

受賞した表彰状の一部
「収穫されたオリーブは、約90分以内に搾油する」と、彼らは言いますが、実際のところ60分以内に搾油しています。

1分でも早く搾油するために畑の敷地内に搾油所をつくり、小型トラックで何度も往復して運びます。オリーブの木から実が離れた瞬間から搾油するまでのスピードがどれほど品質を左右するかを熟知しているからです。

風がゆっくりと木々の間を通り抜け、青い果実の香りを運んでくる。
この畑の空気には、時間をかけて積み重ねられた知恵と、小さな変化を見逃さない人の目が息づいていました。

だからこそ、パラシオオイルはどこよりも鮮烈なフレッシュさが宿るのです。

スペインだけでも同じ品種で早摘みされるエキストラバージン・オリーブオイルは数えきれないほど存在します。しかしこの味わいは「一度知ると、忘れられない」と、プロフェッショナルはもちろん、オリーブオイルに詳しくない一般の方々までも手に取っていくのです。
現場を大切にしているラウルは、畑も搾油所も行き来するため、いつも本当に忙しい。

搾ったばかりのオリーブ
テイスティンググラスに注いで香りをかぐと、刈ったばかりの青い草や、トマト、青リンゴやアーモンドのような甘さなど、品種ごとに実に豊かな風味を体験できます。

口に含むと、グリーントマトのような爽やかさ、ほどよい辛みと品のある苦味、そして最後に喉の奥を刺激するピリッとしたスパイシーな余韻。

「オリーブオイルは、フレッシュなジュースなんだよ」 テイスティングの際、ラウルがそう言いました。

その言葉に違わぬ絶妙な香りと、奥行きのある味わい。世界中の星付きレストランのシェフたちも愛用する理由が、ここにあります。
8年の変化――テイスティングルームの完成
今回、もうひとつ驚いたのは、8年前にはなかったテイスティングルームが完成していたこと。

テイスティングルームから見えるオリーブ畑
シンプルで洗練されたデザイン。聞けば、オーナーのラウル氏は元建築士で、自ら設計したのだそう。彼の手がけたこの空間には、余計な装飾はなく、オイルそのものの美しさを引き立てるような静謐さが漂っていました。

オリーブが大きく成長し、新たなテイスティングルームができ、農園そのものが8年の時を経てまた一歩、前へ進んでいる。その姿に心を打たれると同時に、私も「この味わいをもっと多くの人に届けたい」と、強く思いました。
この日も、多くの注文が入っているのは、一目瞭然でした。

プロフェッショナルなスタッフたちが分業して作業を進め、オイルはどんどん梱包されていきました。

写真は、スペイン最大の銀行グループで、ラテンアメリカやアメリカ合衆国北東部、ポーランドなどでも店舗を展開しているバンコ・サンタンデール(Banco Santander, S.A.)からの注文の一部。
特別な10日間だけの先行予約販売
この8年連続受賞のパラシオオイルを空輸し、日本で限定販売いたします。

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鮮度が命のオリーブオイルだからこそ、最良の状態でお届けします。
バゲットにひとさじ垂らすだけで、香りがふわりと広がる。

シンプルなサラダが、驚くほど芳醇な味わいに変わる。
日常の食卓が、ほんの少しだけ、でも確実に贅沢な時間に変わる。

オイルが生み出す、小さなしあわせを、ぜひあなたのキッチンで。
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予約期間は10日間限定。数量限定のため、お早めに。
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アルマグロの畑で、大切に育まれたオリーブと、それを支える生産者たちの情熱を、ぜひ味わっていただけたらと思います。

Tomoko Kato
Editor-in-chief
福岡県出身のフードジャーナリスト、インポーター。
1997年よりシェフ、パティシエ、ワイン販売などでキャリアを積み、「アクアパッツァ」で広報・PRを担当。レストラン経営の視点からブランド戦略を学び、スペイン食材輸入・販売の(株)LA PASIONを設立。2011年には「スペインワインと食協会」を創設し、スペイン食文化の普及と市場開拓に寄与している。
スペインの食とライフスタイルを軸に、数々のプロモーションイベントや講座をプロデュース。特に「スペインワインと食大学」は、ワインと食材のペアリングを通じて食文化を深く理解する人気プログラムへ成長。オリーブオイルソムリエ®およびテイスティング・食育講師として、生産者、インポーター、レストラン、消費者を結びつける役割を担う。
2016年、業界で最も影響力のあるフードビジネスニュースサイトの専属ライターとして取材・執筆を開始。専門知識と現場取材を活かした記事が好評を得て、現在はフードジャーナリストとして活動する傍ら、毎週配信のニュースレターとWebマガジン「LOHASPAIN」の編集長も務める。 読者層は拡大し、レストランや企業、行政からの取材依頼が絶えない。
近年、アンダルシア州政府の招聘を受け、世界最大級のオリーブオイル展示会でプレス取材を担当。 記事は業界内外で高い評価を得て、複数の州や生産者から現地取材のオファーが相次ぐ。すでに秋の生産者来日のワインイベントのプロデュースも進行中。編集長としての視点とジャーナリストの洞察を活かし、SNSやメディアを通じてスペインワインや食材の魅力を国内外に発信中。