塩については、その産地、製法、種類による味わいの違い、食材へのはたらきから使い方に至るまで、語り尽くせばキリがありません。
スペインの天日海塩をこよなく愛する筆者としては、とくに蒸し暑い時期から夏、いつも以上に意識するのが塩分です。
なぜならさっぱりしたものを食べたくなる時に、酸味を効果的に味わうためにも、塩が大切なキーになるからです。
あなたもご自身のお好みの塩加減が抜群なとき、きっと食材や料理の味わいが格別に感じられるはずです。
偶然の「いい塩梅」より、意図的な「いい塩梅」を目指したいですよね。
塩を食材に染み渡らせる
塩を食材に浸透させるためには、時間、温度と水が重要だと言われています。
たとえばお肉で考えてみましょう。
分厚い肉よりも、薄切りの方が塩が全体に行き渡るのはイメージしやすいかもしれません。
また冷蔵庫から出したばかりの肉より、室温に近い温度の肉の方が、塩味が染み渡りますよね。
水は塩が浸透することに役立ちます。身の詰まったもの、乾燥や硬いものに塩が行き渡りやすくしてくれるのです。
たとえばアーモンドの塩味をつけるとき、塩水にアーモンドをつけるのはアーモンドが乾燥して硬いから。水の力を借りるわかりやすい例です。
塩を振る絶妙なタイミングは
今回は塩を振る目安について、書籍のガイドをヒントにご紹介します。
大むかし、調理師として現場に立ったことのある筆者からのおすすめも付け加えますね。
その名も「おすすめ塩振りカレンダー」です。
塩を振るタイミングは、生ハムなら3年前、コーンビーフなどは3週間前というように食材によってかなり違います。
◯2日前
リブローストやラムレッグ、
またターキーなど大型の家禽類
◯1日前
厚切りステーキや鴨肉など
◯当日
・調理の数時間前
塩を振っておくはずなのに忘れてしまったものには、ダメ元でも気付いた時点で振りましょう!
・調理の15〜20分前
ズッキーニやナス、コールスロー用のキャベツ、
魚、鶏肉、スライスされた豚肉や牛肉にも。
・調理直前
繊細な貝、甲殻類、ローストやグリル用の野菜
下茹で用の湯に塩を入れる
スクランブルエッグ、だし巻き
・調理中
きのこ、レンジ台で調理している野菜、とろ火で煮ているソース
・テーブルに出す数分前
サラダのドレッシング、サラダ用のトマト、セロリ、きゅうりなど
・テーブルに出す、食べるとき
必要なときはいつでもどうぞ。
たとえばレストラン等では、わたしはよほどのことがない限り塩を振るということはやりません。しかし自宅では食べるときに最後の塩を振ります。子供用に塩あじをマイルドに仕上げているためです。
*先日感動したの干ものです。塩加減が抜群に素晴らしく、魚の味わいも脂のノリも極上でした。鮮度の良い魚も、塩を上手く使うことでますます最高の味わいになるのだと。
自分だけの塩梅に出会う
あくまで目安なのですが、塩を振るタイミングについてご紹介しました。
塩の量は、同じ量を測って振っても、食材や季節などで同じ塩味がつくとは限らないものです。
味わう側の体調などでも感じ方が変わりますしね。
そういうことから塩を振る量の目安はあったとしても、少しずつ加えて、ちょうど良いところを見つけるのが間違いない方法なのかもしれません。
あなたにとっての、最高の塩梅に出会えますように。
【参考文献】
・SALT FAT ACID HEAT 著者 サミン・ノスラット
Tomoko Kato
Editor-in-chief
短大卒業後、パティシエをスタートして食の世界一筋25年。スペイン産オリーブオイルに一目惚れし、輸入して13年。好きなものは、ワインとドラマと読書。3児の子育てと仕事に奮闘中。調理師、オリーブオイルソムリエ、スペインワインと食協会・共同代表。福岡県出身。
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