今日は多くのビタミンの中から、以前の記事で予告していたオリーブオイルに多く含まれる「ビタミンE」について掘り下げていきます。
おいしくいただきながら覚えておきたいビタミンを、シリーズでお伝えしていきます。
わずかな量でも重要な働きを担うのが、ビタミン
ビタミンは、体をつくったりエネルギーの素になったりしません。しかし命に必要な有機物で、私たちの体が正常に機能するために欠かせないものです。ビタミンは、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがあります。
上手に摂取するためのポイントは、ミネラルと一緒に摂取することです。なぜならミネラルと取り入れることではじめて体内に吸収され、重要な機能を果たすことができるからです。
ビタミンEのはたらき
ビタミンEは、脂溶性のビタミンでトコフェロールと呼ばれる化合物の集まりです。熱に強く、水に溶けず、油に溶けやすい性質があります。トコフェロールには8つの種類があり、体に必要なはたらきをする最も強いものがアルファ・トコフェロールだといわれています。エキストラバージン・オリーブオイルに含まれるビタミンEの中でアルファ・トコフェロールがいちばん多いのが嬉しいポイントです。
ビタミンEが多く含まれる代表的なものは、アーモンドやひまわりの種、せん茶などです。
ビタミンEは、体内の肝臓、脂肪組織、心臓、筋肉、骨髄、子宮等の部位の生体膜に存在します。さらに血液、副腎、脳下垂体です。あちこちで蓄えられることからも、ビタミンEの重要性が伝わってきます。しかし、比較的短時間しか体内に残らないのが残念なところです。さらに摂取したうちの60~70%が排泄されることも。
「若返りのビタミン」
ビタミンEが体内の酸化を防ぎ、細胞の老化を遅らせてくれることは、健康のためにはもちろん、若返りにも必須です。
ほかには悪玉のLDLコレステロールの酸化を防ぎ、疲労回復、利尿作用によって血圧を下げたり、火傷の治りを早めたりすることも。動脈硬化を防ぎ、さまざまな癌の予防をする助けとなり、アルツハイマー病、狭心症、心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げると言われています。これだけ活躍の場があると足りなくなるのは不安になりますね。
ちなみに推奨摂取量の目安は、成人男性6.5(mg/日) 成人女性6.0(mg/日)です。
欠乏するとどうなる?
赤血球の破壊、溶血性貧血、動物の場合、不妊や筋肉の萎縮が起こることも報告されています。
ビタミンEの敵になるものは?
鉄、アルカリ、紫外線などで分解する性質があります。
日々の食卓でどう取り入れる?
必要な方にはサプリメントからも摂取し、適切な量を確保していただきたいのですが、できるだけ食材から取り入れたい理由があります。なぜなら天然のビタミンEの吸収率は、合成物の2倍だからです。
おすすめは効果を高めために、以下のようなミネラル類も含むビタミン類と合わせて摂取することです。
・抗酸化の高いβ-カロテン(にんじん、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草など)
・ビタミンC(緑黄色野菜や果物:ピーマン、ブロッコリー、じゃがいも、甘柿など)
・ビタミンB2(レバーや乳製品、卵黄、納豆、魚や魚卵類など)
野菜や魚とエキストラバージン・オリーブオイル&アーモンドを一緒にいただくことは、味わいとして素晴らしいことに加え、体にも嬉しい働きをします。
熱や酸に強いため、火が入る調理でもビタミンEの成分が損なわれることがありません。美味しくいただきながら、体のなかで大切な働きをしてもらいたいですね。
とはいえ、何事もバランスが大切です。足りなさすぎるのは論外ですが、取りすぎが良いというわけでもありません。
必要量は体質や体型など、人それぞれ違います。とくに他のサプリメントや投薬中の方は、ご自身の摂取のバランス等を医師やサプリメント会社に確認することをお勧めします。
【参考文献】
・完全版 ビタミン・バイブル アール・ミンデル
・栄養の教科書 中嶋 洋子
Tomoko Kato
Editor-in-chief
短大卒業後、パティシエをスタートして食の世界一筋25年。スペイン産オリーブオイルに一目惚れし、輸入して13年。好きなものは、ワインとドラマと読書。3児の子育てと仕事に奮闘中。調理師、オリーブオイルソムリエ、スペインワインと食協会・共同代表。福岡県出身。
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