Spain Wine Food JOURNAL

協会ジャーナル

スペインワインと食協会による協会ジャーナル。公式活動と取材、現地レポートを通じて、スペインのワインと食文化の現在地を伝えます。

バスクの薪火料理の極致「アサドール・エチェバリ」が世界の頂点へ— The World's 50 Best Restaurants 2026

バスクの薪火料理の極致「アサドール・エチェバリ」が世界の頂点へ— The World's 50 Best Restaurants 2026

2026年11月4日、ペルー・リマのTeatro Municipal de Limaで、「The World's 50 Best Restaurants 2026(世界のベストレストラン50)」の授賞式が開催されました。

世界28地域の食の専門家らによる投票で選ばれるこのランキングで、世界第1位に輝いたのは、スペイン・バスク地方のアチョンドにある「Asador Etxebarri(アサドール・エチェバリ)」。2025年の第2位から順位を上げ、初めて世界の頂点に立ちました。さらに、「The Best Restaurant in Europe」の称号も獲得しています。

◆ 薪火と向き合い、素材の個性を引き出す。ビットール・アルギンソニス氏の哲学


The 50 Best Restaurants 2026 - No.1 shot


アサドール・エチェバリを率いるのは、シェフ兼オーナーのビトル・アルギンソニス(Bittor Arguinzoniz)氏。彼の料理を特徴づけるのは、薪火という極めてシンプルでありながら、繊細な技術を要する調理法です。

肉や魚介、野菜、さらには乳製品に至るまで、食材ごとに異なる火入れを追求。自ら手がけたグリルを使い、薪の種類や熱の加減を緻密に操ることで、素材が本来持つ風味や質感を引き出します。

余計な演出に頼らず、火と素材に真摯に向き合う。その独自の料理哲学が、世界中の料理人や美食家を魅了し続けています。

◆ 世界ランキングに名を連ねたスペインのレストラン


The 50 Best Restaurants 2026 - 1-50 List


今回のランキングでは、アサドール・エチェバリの首位獲得に加え、スペインから計7軒がトップ100に選出されました。トップ50には4軒が入り、スペインのガストロノミーが国際的な存在感を示しています。

【トップ50】

  • 第1位:Asador Etxebarri(アチョンド/バスク)

  • 第9位:DiverXO(マドリード)

  • 第29位:Enigma(バルセロナ)

  • 第33位:Elkano(ゲタリア/バスク)協会推奨レストラン

【51〜100位】

  • 第69位:Cocina Hermanos Torres(バルセロナ)LOHASPAINレポート

  • 第80位:Txispa(アチョンド/バスク)LOHASPAINレポート

  • 第100位:Aponiente(エル・プエルト・デ・サンタ・マリア/アンダルシア)

バスクの薪火料理や魚介料理、マドリードの創造的なファインダイニング、バルセロナの現代的なガストロノミー、そしてアンダルシアの海の恵み。それぞれの土地に根ざした食材と料理人の個性が、スペイン料理の豊かな多様性を物語っています。

◆ フェラン・アドリア氏に「Icon Award」。
スペイン料理界の革新を称える


フェラン・アドリア photo by elBullifoundation

今回の授賞式では、もう一つ、スペインのガストロノミーにとって意義深いニュースがありました。世界の料理界に大きな影響を与えてきた「elBulli(エル・ブジ)」の創設者、フェラン・アドリア(Ferran Adrià)氏が、「SevenRooms Icon Award」を受賞しました。

伝統的な料理の概念を覆し、現代ガストロノミーに新たな可能性を切り開いたフェラン氏。その功績は、レストランという枠を超え、食文化や料理人の創造性にも大きな影響を与えてきました。今回の受賞は、スペインが世界の料理界に残してきた革新の歴史を改めて振り返る機会となりました。

【関連記事】「エル・ブジ」フェラン・アドリアと世界のガストロノミー地域2025


◆ 土地と食材、そして造り手への敬意


バスクの小さな村アチョンドから、薪火という普遍的な調理法を通じて世界の頂点へ。アサドール・エチェバリの快挙は、華やかな技術や演出だけではなく、土地の恵みと素材の本質に向き合うことの価値を改めて伝えてくれます。

スペインの食文化を語るうえで、料理とワインは切り離せない存在です。土地の個性を映し出す食材、伝統を受け継ぐ料理人、そしてその風土から生まれるワイン。それぞれが響き合うことで、スペインのガストロノミーはさらに豊かな広がりを見せています。

今回の快挙をきっかけに、料理だけでなく、その土地の風土や造り手の思いを映し出すスペインワインにも親しんでいただけたら嬉しく思います。


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スペインワインと食協会について

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スペインのワイン生産者や食文化の担い手と日本市場をつなぎ、専門的な情報発信、セミナーやイベントの企画・運営などを通じて、スペインワインとガストロノミーの魅力を伝えています。

公式サイト:spainwinefood.org
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【参考資料】
・The 50 Best「Asador Etxebarri is The World's Best Restaurant 2026」
・RTVE「Asador Etxebarri, mejor restaurante del mundo 2026」
・Gastroeconomy「Etxebarri, mejor restaurante del mundo en 2026」

【写真提供】
The 50 Best Media Centre




Ikumi Harada

Ikumi Harada 原田郁美
Journalist & Creative Director

スペインワインとガストロノミーを専門とするジャーナリスト。広告代理店でデザイナーとして経験を積み、クリエイティブな視点と戦略的思考を身につける。2005年のスペイン留学を機にワインと食文化に魅了され、以来その研究と発信に力を注いでいる。2009年から日本およびアジア市場におけるスペインワインの輸出・プロモーションに携わり、2011年「スペインワインと食協会」を設立し普及と市場発展に努めている。2012年よりプリオラートでワイン造りに取り組み、2024年に自らの初ヴィンテージを発表。2025年からバルセロナの国際ワインコンクール「Barcelona Wine Test」の運営メンバーとして活動。WSET® Level 3、Spanish Wine Specialist(ICEX認定)。山口県出身。
@ikumiharada