スペイン紀行──ハティバの街を歩く プロローグ:歴史が息づく、美しい街への招待
バレンシア州の内陸にひっそりとたたずむ街、ハティバ。 車から降りた瞬間、私はまるで映画の中に入り込んだような気持ちになりました。 バレンシアの海岸から電車で1時間ほどの距離にありながら、ここにはまるで別の時代が息づいているかのような雰囲気があります。 それもそのはず。少し調べてみただけでも、この街の歴史は深いことが想像できます。たとえば、「スペインで最初に紙が作られた場所」として知られていたり。私たちがイメージしている陽気な海辺の街のバレンシアとちがう、もうひとつのスペインをみせてくれる場所のような気がします。 歴史を感じる石でつくられた古い家があり、またグリーンやオレンジ、薄いブルーなどカラフルで絶妙な色づかいだなぁと思わされる家や建物もあります。しかしそのエリアごとに絶妙なバランスで調和されていて、街全体がやさしい暖色の黄色のグラデーションにみえるから不思議です。 この街は、役所や図書館など、日常生活に必要なものが揃い、観光で訪れても嬉しい美術館や教会もあります。さらに大通りの歩道には、大きなプラタナスの樹が目を惹きます。通りに沿って公園、歴史がある噴水、レストラン、Bar、新しいカフェや古くからの商店などが並び、その建物の間から、チラチラとハティバ城がみえるのです。 建物の間からみえるハティバ城 初めて訪れる場所は、歩くたびにワクワクしてきます。とはいえ実は、ひとりで海外の街を歩くのはあまり得意ではない私です。しかしここでは、朝からひとりで散策したくなり、その様子を残しておきたくて、初のインスタライブを決行したほど。 まだ道もほとんど理解していないのに、身体が勝手に動いてしまいました。 これは私見ですが、少し街の雰囲気に触れ「なんだか、いいな」と、そんなふうに思う時は、間違いなく素敵な場所のことが少なくありません。 今回は、現地在住の田川敬子さんが素敵なアテンドをしてくださいました。レストランやカフェに加え、ハティバ城、さらに秘密の絶景スポットまで!さすが口コミや紹介だけで数々のアテンドを経験されているだけあり、プランニングセンスが素晴らしく、各所を抜群のタイミングでご案内してもらえたのです。 敬子さん(右から二番目)、敬子さんのお友達と筆者 せっかくですから数回に分けて、お城、絶景スポット、再訪したいレストランもじっくり皆さんにご紹介していきたいと考えています。 お楽しみに! --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- Tomoko KatoEditor-in-chief 福岡県出身のフードジャーナリスト、インポーター。1997年からシェフやワイン販売などの経験を積み、調理師免許を取得。青山の老舗レストランではワインのトップセールスとして活躍し、その後リストランテ「アクアパッツァ」にて広報・PRを担当。2009年、スペイン産オリーブオイルに一目惚れして「LA PASION」を立ち上げ、今年で16年目を迎えるインポーターとして多くの顧客に恵まれている。2011年には「スペインワインと食協会」を設立し、30回以上のプロモーションを手がける。スペイン・アンダルシア州政府から、世界一のオリーブオイル展示会にプレスとして正式招聘され、取材・執筆を担当。特に「スペインワインと食大学」は告知と同時に満席になる人気講座として好評を博している。現在はWebマガジン「LOHASPAIN」の編集長として、スペイン食文化やワインの魅力を国内外に発信中。