【CAVA】地中海の光を映す、喜びの泡 Recipe.2
Spanish Lyfestile第二弾では、スペインが誇るスパークリングワイン、CAVAに焦点を当てます。朝から晩まで様々なシーンで寄り添うCAVAの魅力や、特別な瞬間をより華やかに演出するおすすめの一本について、フアン・ムニョス先生にお話を伺いました。ーーーーーーーーーーーーーー スペインが世界に誇る、伝統のスパークリングワイン CAVA(カバ)は、スペインの原産地呼称(DOP)の一つで、地域ごとの分類により、以下のようなサブゾーンが存在します。 カバ・コンタッツ・デ・バルセロナ(Comtats de Barcelona) カバ・レケーナ(Requena/バレンシア) カバ・バジェ・デル・シエルソ(Valle del Cierzo/サラゴサ) カバ・バジェ・デル・エブロ(Valle del Ebro/リオハ、ナバラ、アラバ) カバ・ビニェドス・デ・アルメンドラレホ(Viñedos de Almendralejo/エストレマドゥーラ) とはいえ、本当の意味でカバの歴史と伝統が根づいているのは、カタルーニャ地方、とりわけペネデスとアレリャです。 CAVAは、100%地中海性気候で育まれた、瓶内二次発酵による高品質スパークリングワインです。太陽の恵みによって、アルコールと酸のバランスが見事に調和し、「ブリュット・ナチュレ(残糖0.0g)」のような、世界で最もドライなスタイルのひとつ(シェリーと並ぶ)を生み出すことができます。 CAVAは一日を通して楽しめるワイン 朝はイベリコハムのトーストやボカディージョと、昼には煮込み料理、午後には苺、夜には海辺での軽い夕食と、どんな食事にも寄り添ってくれます。適量であれば健康にも良いとされ、日常的なワインとして親しまれています。かつてスペインではカバといえばクリスマスや年末の乾杯専用でしたが、今ではすっかり日常のワインとして定着しています。これから春を迎える季節には、イワシの炭火焼き、バレンシア風パエリア、魚介や山の幸のアロス、さらにはピザやローストチキン、イカスミのアロスなど、さまざまな料理とともに楽しめます。 若いスタイルのカバはフルートグラスでも構いませんが、熟成タイプのレゼルバ、グラン・レゼルバ、パラヘ・カリフィカード(特別区画)のカバは、香りを開かせるためにも、口径の広いカリスグラスや白・赤ワイン用のグラスがおすすめです。3年以上瓶内熟成されたカバは、空気と触れ合うことで、その魅力を最大限に発揮します。 カバがここまで人気を集めてきた背景には、高品質ながらも価格とのバランスが非常に優れていることがあります。ロゼカバや樽熟成カバ、長期熟成のカバなど、バリエーションも豊富で、クリーミーでエレガントな泡立ちが魅力の、熟成白ワインに匹敵する味わいを手軽に楽しむことができます。 カバは、地中海の太陽と海風に抱かれて生まれたワインです。古くから続く家族経営のワイナリーが多く、代々受け継がれてきた技と情熱が、その一本一本に込められています。そして今日では、多くの女性たちが醸造や経営の第一線に立ち、カバの進化をリードしています。 使用されるブドウも、マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ、マルバシア、モナストレル、ガルナッチャ、トレパットといった地場品種を中心に、シャルドネやピノ・ノワールといった国際品種も組み合わせて、多彩で洗練されたスタイルが生み出されています。カバとは、私たちの暮らしに寄り添う、誇り高きDOPのスパークリングワインなのです。 フアン先生オススメのCAVA CAVA・クリプタ – 地中海の宝石 CAVA・クリプタは、デゴルジュマン前に5年以上もの長期熟成を経たグラン・レセルバのカバです。特別な存在であり、生産量も限られています。このカバは、中世の石造りのカーブ(地下貯蔵庫)に収められた、まさに“クリプタ”の名を冠するにふさわしい逸品です。興味深いことに、このカバを造るワイナリー(カーヴ、またはセリェール)は、唯一この「CAVA・クリプタ」だけを生産しています。このCAVAの個性は、そのすべてにおいて際立っています。ベースワインは樹齢100年を超える古木から収穫されたブドウで造られ、使用されるのはマカベオ、チャレッロ、パレリャーダの3品種。この3種のブドウこそが、高品質なカバを生み出す伝統的なトリロジーです。地中海の太陽と気候の恩恵を受けたブドウから生まれるこのカバは、ブリュット・ナトゥーレ(Brut Nature)、つまり残糖0.0g。極めてドライな仕上がりでありながら、そのスタイルこそが品質へのこだわりを物語っています。 グラスに注げば、クリプタはまるで泉のように香りと味わいを湧き上がらせます。鮮やかで輝きのあるイエローゴールドの色調。香りには青リンゴやフェンネル、フレッシュフラワー、熟した果実のニュアンスが広がり、熟成によるバニラや繊細なペストリーの香りが重なります。クロワッサンのようなバターの風味とクリーミーなテクスチャー、ローストナッツのニュアンスが余韻に深みを与えます。口に含めば、完璧な酸のバランスがもたらすフレッシュさと、圧倒的なエレガンスが感じられます。 このグラン・カバは、その魅力を存分に引き出すために、口の広いゴブレット型のグラスや、エレガントな白ワイングラスで楽しむのがおすすめです。長期熟成の奥深い香りを存分に堪能するには、十分に空気と触れ合わせることが重要です。適温は6~8℃、季節によっては10℃まで温度を上げることで、より多彩な表情を楽しむことができます。 料理とのペアリングは、ほぼ無限大。イベリコ・ベジョータの生ハムとの相性は言うまでもなく、驚くほどシンプルながら贅沢な組み合わせとして、目玉焼きにスライスした黒トリュフ(メラノスポルム)を添えたものもおすすめです。また、オーブンで焼いたスズキやコルビーナ(スズキ科の白身魚)とのペアリングも絶妙です。偉大なワインは、たとえ皿の上に何もなくても、その存在だけで満ち足りた時間を演出してくれるものです。SALUD Y AMOR…..MUCHO AMOR フアン・ムニョス – あなたのソムリエ 「Spanish Lifestyle:最高の人生を叶えるスペイン流レシピ」第二回目は、世界中で愛されるスペインのスパークリングワインCAVAの魅力について、オススメのCAVAとともに、フアン・ムニョス先生からお話を伺いました。これからも、スペインワインやガストロノミー界の第一人者へのインタビュー、フアン先生の貴重な知見、おすすめのスペインレストランやバル、ワインの紹介など、あなたの人生を豊かにするコンテンツをお届けしていきます。次回もどうぞお楽しみに。●スペインソムリエ界の権威フアン・ムニョス先生と紐解く Spanish Lifestyle【Recipe.1】 --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---Ikumi HaradaJournalist & Creative Director スペインワインとガストロノミー専門ジャーナリスト大学卒業後、広告代理店でデザイナーとして、クリエイティブな視点と戦略的思考を培う。2005年から留学を機にスペイン食文化に魅了され、その研究に人生を捧げる。2009年から日本・アジア市場でスペインワインの輸出とプロモーションに従事。2011年に「スペインワインと食協会(AGE)」を創設し、クリエイティブディレクションや執筆を通じてスペイン食文化の普及と市場拡大に寄与している。2012年、プリオラートでワイン造りを始め、2024年に自らの初ヴィンテージをリリース。2025年より、フアン・ムニョス氏と共同企画「Spanish Lifestyle」連載開始。WSET...